原子力について考える

斉藤和義 「ずっとウソだった」

この国を歩けば 原発が54基
教科書もCMも 言ってたよ 「安全です」
俺たちを騙して 言い訳は「想定外」
懐かしいあの空 くすぐったい 黒い雨

ずっとウソだったんだぜ やっぱバレてしまったな
ほんとウソだったんだぜ 「原子力は安全です」
ずっとウソだったんだぜ ほうれん草喰いてぇなぁ
ほんとウソだったんだぜ 気づいてたろう この事態

風に舞う放射能は もう止められない
何人が被曝すれば 気がついてくれるの この国の政府

この街を離れて 美味い水 見つけたかい?
教えてよ やっぱいいや
もうどこも 逃げ場はない

ずっとクソだったんだぜ 東電も北電も
中電も九電も もう夢ばかり見てないけど
ずっとクソだったんだぜ それでも続ける気だ
ほんとクソだったんだぜ 何かがしたいこの気持ち

ずっとウソだったんだぜ
ほんとクソだったんだぜ

原子力について、是か非か。
この問題について考えると、最終的に
「そもそも電気って人間にとって禁忌のものだったんじゃないか?」
と言う考えにたどり着いてしまったりします。

電気を生活の中に利用する端緒となった発明から、まだ400年も経っていません。
つまり、500年以上前の生活は、電気とは無縁のものだったのです。
電気がなくても、人は生きていける。
現代でも、アーミッシュと呼ばれる20万人以上の人々は電気とは無縁の生活を送っていたりします。

とは言え、自分としては電気と無縁な生活を送る気にはなれません。
仕事でも、生活でも、電気を使いまくってます。
蛍光灯、テレビ、洗濯機、電子レンジ、扇風機、エアコン、パソコン、携帯電話、掃除機。
どれも電気がないと動かないものばかりです。
生活の中で電気が関係ないのは、電動じゃない歯ブラシと5枚刃のヒゲソリくらいです。

電気は必要。じゃあ原子力発電は?
ということになれば、これは必要であるとも言えるし、不必要だとも言えます。
「事故が起こったから不要」ってのは、考え方として筋が通っていません。

原子力発電が低コストの発電方法というのは、本当でしょうか。
調べた感じだと、火力とかよりわずかに安いという感じでした。
ただ、これはちょっと眉唾ものです。本当に発電にかかわるすべてのコストを計算したのかどうか。
使い終わった放射性廃棄物の管理・運用コストが本当に入っているのか。
青森県六ヶ所村にある処理施設には、年間113億円もの費用が投じられているそうです。
それも含めて、コストが一番安いんでしょうか?

次に、環境面への問題があります。
火力発電所は、環境面に関して難がありそうだ、というのは直観的に分かります。
原子力発電も、適正に処理されていれば、環境面への影響は少ないのかもしれません。
(最終的には何百年にもわたって管理が必要という時点でにわかには信じられませんが)
当然、今回のように大気に放射性物質が出てしまうようなのは論外なのですが。

結局のところ、今回の件は東京電力がクソだっただけで、ちゃんと運用・管理をしていれば、問題はなかったのかもしれません。
地震の想定も、津波の想定も甘甘で、国もそれを看過していた。
ちゃんとしていれば問題はないと言っても、ちゃんとしてない人や機関はいつの世にも存在することを考えれば、やっぱり「ダメ」なんでしょう。

それにしても不思議なことが……
「なんで東京電力って上場してるの?」
ってことです。
なんで民間企業なの?なんで上場してるの?不思議でなりません。
公益企業なのに上場してるのは何ででしょうか?
株式市場に出ていれば、株主はその企業にできるだけの利益を期待します。
それに応えるとしたら、安全基準や安全運用のためのコストもギリギリのラインを目指すことになります。
っていうか、平時には何ともないんですから、不測の事態が起こるまではもっとラインを下げることが、十分考えられます。
馬鹿じゃないの?という感じです。

「万が一」が起こったら取り返しのつかない仕事を任せてる企業が上場してるなんて、本当に頭がおかしいとしか思えません。